減価償却 ③最難関の定率法
【前回】
https://pen-hakase.hatenablog.com/entry/2021/06/09/150000
前回まで、「定額法」という、最もオーソドックスな金額計算法を使いました。
では、皆さんが嫌いな「定率法」について説明しましょう。
そもそも、定率法とは何でしょうか。
定額法は「毎年決まった金額」を償却しました。
定率法は「毎年決まった率で計算した金額」を償却します。
これだけではわからないので、実際に例題を使って確認してみましょう。
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『建物 取得価額 20,000,000円 耐用年数20年 償却率10%』
定率法のとき、注目すべきは「償却率」です。
問題によっては、200%定率法や250%定率法など、いろんな言葉を使って皆さんを惑わせてきますが、関係ありません。
その後の償却率の数字を見るのです。
今回は償却率10%です。
これをおさえましょう。
定率法のとき、耐用年数は計算に使いません。
(なんなら残存価額も使いません。これは次回お話します。)
先に解答を見せます。
本来は20年間、減価償却をするのですが、全て説明するとすごく長い記事になるので、4年目までの記載になってます。
4年しか減価償却しない、と誤解なさらないように。
では、1年目から説明します。
まず計算の式をお伝えします。
(帳簿価額−減価償却累計額)×償却率
言い換えると
未償却残高×償却率
です。
(帳簿価額−減価償却累計額)が未償却残高となります。
1年目は、まだ減価償却をしていないので、減価償却累計額がありません。
なので帳簿価額20,000,000円がそのまま未償却残高であり、この未償却残高に償却率をかけます。
%が使える電卓なら、%のまま計算してもらって構いません。
20,000,000×0.1=2,000,000
1年目の減価償却費は2,000,000円。
減価償却累計額はいくらですか?
今までの減価償却の合計額は今年の分だけなので、2,000,000円になります。
2年目
さあ、2年目からは大変です。
まず、未償却残高を出します。
まだ減価償却されていない部分の金額です。
これは、1年目のB/Sに載っている帳簿価額ですね。
20,000,000−2,000,000=18,000,000
18,000,000が未償却残高(前期末の帳簿価額であり、当期首の帳簿価額)です。
この18,000,000円に償却率をかけます。
18,000,000×0.1=1,800,000
2年目の減価償却費は1,800,000円です。
減価償却累計額は1年目の2,000,000円と2年目の1,800,000円を足した3,800,000円です。
ここから先は、文章もややこしくなるので、式のみを載せます。
「どう言う意味?何これ?」
「どの数字を使うの?」
となった人は、コメントでご指摘ください。
3年目
未償却残高
20,000,000−3,800,000=16,200,000
減価償却費
16,200,000×0.1=1,620,000
減価償却累計額
2,000,000+1,800,000+1,620,000
=5,420,000
4年目
未償却残高
16,200,000−1,620,000=14,580,000
減価償却費
14,580,000×0.1=1,458,000
減価償却累計額
5,420,000+1,458,000=6,878,000
4年目は違う方法で計算しました。
こちらが時短になるので、慣れてきたらこっちで計算できるようにしましょう。
こんな感じで、毎年計算していくのです。
定額法よりも面倒臭い作業ですね。
仕訳で使う勘定科目やB/Sの記載の方法は定額法の時と同じです。
確認しておきましょう。
仕訳の切り方
B/Sの表示の仕方
いろんな言葉がでてきて混乱し始めましたね。
つまるところ、減価償却には4パターンあるのです。
・定額法で直接法
・定額法で間接法
・定率法で直接法
・定率法で間接法
おすすめの解き方は、まず勘定科目を先に書いてしまうことです。
左に減価償却費がくるのは共通なので、決算仕訳を問われたら、まず先に減価償却費を書きましょう。
決算仕訳というのは、決算の日にする仕訳なので、総合問題では出題率がほぼ100%になります。
ちなみに、減価償却費が左なのは、「費」がついているからです。費用の「ひ」は左の「ひ」です。
次に右側の勘定科目を書きましょう。直接法なら減価償却をする資産の名前、間接法なら減価償却累計額です。
勘定科目名は問題に合わせてください。同じ車でも、問題によっては「車両」だったり「車両運搬具」だったりします。
減価償却累計額も同様です。問題によっては「車両運搬具減価償却累計額」という勘定科目を使うことがあれば「減価償却累計額」としか書いていないこともあります。
臨機応変に対応してください。
勘定科目を書いたら、次に金額の計算をしましょう。
直接法か間接法か見て勘定科目を書く
↓
定額法か定率法か見て金額を計算する
この順番で解けば、凡ミスも減らせるでしょう。
次回は少し込み入った内容になります。
練習問題もついてきますので、ぜひ参照してください。
【次回】