減価償却 ②定額法って?
【前回】
https://pen-hakase.hatenablog.com/entry/2021/06/08/150000
では問題を解いてみましょう。
建物の取得価額は20,000,000円です。
それを20年にわたって費用化(減価償却)します。
よって
2000万円÷20年=100万円
この100万円が一年に費用化する金額です。
大事なことになりますが、
減価償却は"決算時"に行ってください。
今回は4月1日に建物を購入し、3月31日が決算なため、100万円がそのまま減価償却費です。
【プチ発展】
もし、10月1日に購入していると、購入から半年で決算なため、100万円(年額)に6/12をしてください。
このような作業を「月割」と言います。
となります。
費用化した分、建物の価値が減りましたね。
「価値が減ること」これが減価償却なのです。
ここで勘定科目は「建物」が使われてますね。
建物の帳簿価額を直接減らしています。
これが直接法の特徴です。
逆に間接法もあります。
間接法では、仕訳は次のようになります。
間接法は「減価償却累計額(げんかしょうきゃく るいけいがく)」という勘定科目を使うのがポイントです。
減価償却累計額は、今まで減価償却してきた金額の合計額を集計する勘定科目です。
いきなり直接法と間接法なんて知らない言葉が出てきて戸惑われたと思います。
この2つは問題文にそれぞれ指示があり、問題文に合わせて使う勘定科目を変えなければなりません。
この2つの何が違うのかは詳しくは後で説明しますが、簡潔にお伝えすると、直接法なら固定資産の名称、間接法なら減価償却累計額を使って仕訳を切ります。
つまり、仕訳で使う用語が2パターンあるというわけです。
なお、左側に減価償却費を書くのは、直接法・間接法ともに共通です。
次に直接法でB/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)に与える影響を見ましょう。
(建物の購入以外をしていないという前提です)
なぜこのような話をするかというと、自分で貸借対照表から情報を読み取って、減価償却費を計算することが必要になるからです。
×1年4月1日 〜建物購入前〜
B/S
現金は50,000,000円所有しているという設定です。
×1年4月1日 〜建物購入後〜
B/S
建物を購入したので、建物が発生しました。
そして、建物の購入代金である20,000,000円分だけ現金の金額が減少しています。
B/S
P/L
そして決算を迎えました。
決算仕訳により、減価償却をしています。
よって、資産(建物)の金額が減少した分、費用(減価償却費)が発生しました。
では、来年はどういう処理をしますか?
そうです。同じことをするんです。
決算仕訳
×3年3月31日 〜決算時〜
B/S
P/L
建物の価値が減ってますね。
減価償却をしたからです。
現金の金額が変わっていないことが気になる人のために注記しておきます。
今回建物の購入以外はしていないという前提があります。
なので、建物購入以外にお金の変動はありません。
よって、現金は2年間同じ金額です。
先程、直接法と間接法という言葉に触れました。これは、B/Sに建物の金額を乗せるときの見せ方のルールの一つです。
B/Sでは、こんなふうに違います。
仕訳に使う勘定科目が違うせいで、表示も違う方法になっています。
どちらも建物の帳簿価額が19,000,000円であることを表しています。
直接法と間接法で仕訳が違うのは、B/Sの表示を変えるためなんです。
直接法の仕訳はこうでした。
なので、何年間も減価償却をして、仕訳を切れば切るほど、B/Sに表示される資産(建物)の金額は小さくなります。
直接法は一目で資産の今の価値が分かります。
逆に、一目見ただけでは今、減価償却をし始めて何年目なのか、わからないのが直接法の特徴です。
間接法の仕訳はこうです。
減価償却累計額は「負債」です。
しかし、負債なのに表示するのは建物の下、つまりは資産項目に並べるんです。
負債なので、資産項目をマイナスする項目として記載します。
( )や△をつけることで、マイナスすることを示しています。
間接法によると、建物を買ったときの価額(取得価額)と、今まで減価償却してきた金額(減価償却累計額)と、今残っている価値(帳簿価額)の全てを見ることができます。
処理はめんどくさいけど、全ての金額を記載してるやり方。それが間接法なんです。
【次回】